吉里吉里忌2015

2015年4月19日(日)13時~17時

川西町フレンドリープラザ・遅筆堂文庫
参加費:1,000円(18歳以下無料)

 

■演劇鼎談「笑いにひそむ真実― 井上演劇の魅力」
永井愛(劇作家・演出家)・平田オリザ(劇作家・演出家)・
扇田昭彦(演劇評論家)

 

■記念講演「井上ひさしと私」
浅田次郎(作家)

 

司  会:古屋和雄
(文化学園大学教授・
元NHKエグゼクティブアナウンサー)
 
主  催:吉里吉里忌実行委員会・川西町・井上事務所

 

 

※前日開催
第28回遅筆堂文庫・生活者大学校を開校
4月18日(土)13時~17時
「井上ひさしと憲法」
講師:山下惣一(農民作家)・樋口陽一(東北大学名誉教授)
参加費:1,500円
17:00~19:00 交流会(参加費 5,000円)

 

※当日午前開催
旧小松町ガイドウォーク
担当編集者が明かす井上ひさし創作秘話
学芸員による遅筆堂文庫案内
井上ひさし作詞の「川西第一中学校校歌をうたおう」
などのオプション講座あり。

 

※宿泊プラン
宿泊プランのご用意もあります。

 

チラシ(クリックすると拡大します)

井上ひさしの演劇界デビュ―時から、全ての芝居を同時代に観て評論してこられた扇田昭彦さんが、2015年5月22日、悪性リンパ腫のため亡くなられました。 「吉里吉里忌2015」では、元気なお姿で井上芝居についてお話し下さいました。
ご冥福をお祈りいたします。

吉里吉里忌2015開催報告

ふるさと山形川西で、井上ひさしを語り継ぐ
  4月19 日、町フレンドリープラザにて、井上ひさしさんを偲ぶ「吉里吉里忌」が開催されました。
  井上ひさしさんの没後5年となる今年からふるさとで開催することとなり、演劇分野でゆかりの深い永井愛さん、平田オリザさん、扇田昭彦さんによる鼎談と、浅田次郎さんによる基調講演が行われました。
  それぞれが井上さんに抱いている思いや、印象深いエピソードなどを披露し、全国各地から集まった参加者で超満員となった会場は温かい笑いに包まれていました。
  また、元プラザ演劇学校教頭のさとう修三さんによる「吉里吉里人」の朗読や、川西中学校の生徒により、井上ひさしさん作詞の「川西町立第一中学校校歌」が披露されました。

実行委員長あいさつ

阿部 孝夫さん(遅筆堂文庫館長)
  開催準備にあたり、井上さんの大きさを実感した。実行委員だけではこの吉里吉里忌は開催できなかった。   この吉里吉里忌を、井上さんの功績・業績を広め、伝えていくための機会としたい。

開催地あいさつ

原田 俊二 川西町長
  この吉里吉里忌を、井上さんの思いをみなさんと語り合えるような場にしていきたい。   井上さんから、たくさんの言葉をいただいた。「人らしき人」「ひたすら・ひとすじ・ひたむきに」という言葉を子供たちに残していただいた。

井上ひさしさんとは 鼎談ていだん「笑いにひそむ真実ー井上演劇の魅力」より

扇田 昭彦さん(演劇評論家)
  戦後最大の劇作家であったのではないか。しかもそのほとんどが名作である。
  ある作家が出版した小説の文芸時評を依頼した際、その作家の全集をすべて購入し、読んだ後に文芸時評を書いてくださり、何の文句も言えなかった。
永井 愛さん(劇作家・演出家)
  どういう演劇の道を歩んでいったらいいか迷っていた時に、井上さんが方向性を指し示してくださった。井上さんが切り開いてきた道を歩んできた感じがしている。
  井上さんほど「貧しさ」や「戦争」について物語を書いた劇作家はいないのではないだろうか。題材の選び方、何を書いたかということが「井上ひさし」を物語っている。
平田 オリザさん(劇作家・演出家)
  井上さんと仕事で対談した際、こちらで話すテーマを決めて、編集者を通して提案し、対談に臨んだことがあった。
  すると、こちらで調べた10倍以上の資料を、当日リュックに入れて持ってきた。それを見せられ、対談で何を話しても「この人は何でも知っているんじゃないか」という感じを常に抱かされた。

印象に残っている井上ひさしさんとのエピソード 基調講演「井上ひさしと私」より

浅田 次郎さん(作家)

○『鉄道員(ぽっぽや)』で、初めて直木賞を受賞した際、講評で井上さんから「この短編集は4 作が大傑作で、4 作が大愚作です」と言われた。どれが傑作で、どれが愚作かは、結局教えてもらえなかった。

○ペンクラブで中国の作家をお呼びし、一緒にうなぎを食べに行ったことがあった。その時に、中国人と通訳との間で明らかに私語が話されていたが、私語を通訳しなかったことに対し、「あなたは今通訳の仕事をしているのだから、私語であってもすべてを通訳して話さないといけない」としかったことがあった。
  井上さんはすごく優しく、気配りのできる人であったが、これは間違っているということに関しては絶対に譲らない、芯の強い人だった。

○井上さんは、決して言葉でああだこうだと教える人ではなかったが、仕事からそれが伝わってきた。
  私も、言葉でああだこうだと教えるのではなく、自分の仕事で表していきたいと思った。

○いつも、「こんな時、井上さんだったらどうしただろう。井上さんだったら何と答えただろう」と考えている。これは井上さんのことを「尊敬している」ということだろう。

○井上さんは本当に苦労された方だと伺っているが、ただの一つも苦労話を聞いたことがない。井上さんから聞こえてくるのはいつも「面白い話」ばかりだった。

「吉里吉里忌が『時間のユートピア』になることを願っています。」と述べられた井上ユリ夫人

さとう修三さん(元プラザ演劇学校教頭)による『吉里吉里人』の朗読

(「町報かわにし」№1132 2015年5月15日号より転載 )

各地からの参加者で会場いっぱいとなった吉里吉里忌2015。

講師のみなさんも参加しての交流会では、
地元のおばちゃんたちが手作りした郷土料理が並びます。

会場ロビーには山形県の名産品がズラリ。

つきたて餅、芋煮、牛串などの出店が賑わう昼休憩。